うつろぐ

うつなので、楽しいことだけする

『何者かになりたい』を読んで

読もうと思った理由

タイトルに惹かれて。

「何者」って映画が2016年に上映されて、観てはいないけど、自分が何者なのか、何者になりたいのかっていう問いは若者の問いとしてよくあるテーマだよな、とは思う。

不惑をすぎて、もはや数年。

それでも、まだ何者にもなれない救いのないおばさんも「何者かになりたい」という気持ちで読むことに。まさに今、迷っているし。

 

本の内容について

予想通りというか、私が甘いんですけど、予想以上に10代20代に焦点を当てた内容。

承認欲求や所属欲求から見た「何者問題」。チヤホヤされていたり、「おれら・わたしら」の中にいるときは感じない「何者問題」

現代のオンライン・オフライン社会の中での承認欲求や所属欲求のあり方から見た、現代特有の問題。

続いて、心理学的な「アイデンティティ」からの「何者問題」

アイデンティティの獲得・取捨選択・確率による自己の成長。それに続く、もしくはそれらと絡まる恋愛・パートナーシップの問題。

 

ここまでの流れは全て若者の話。自己が生まれて、アイデンティティを確立しながら成長していく過程の話。

何者問題は普遍的な問いでもあり、時代と共に問う内容に違いがある問題。

 

で、大抵は成長して自己を確立、もしくは他者との関係や肩書きの取得などによりあまり「何者問題」に悩まなくなる。

でも、若い頃の「何者問題」をくすぶらせていたり、理想の「何者」を獲得できなかった中年が、「何者問題」を再燃させてしまうことがある。

それについて、「大人になってからの何者問題」という章で、サラッと触れられている。

アイデンティティというもの自体が、自分の体の衰えなどの理由で奪われることもある、変化していくものであることから、年齢を重ねようと「何者問題」が無意味ではないし、あること自体を、まあ、受け止めましょうって感じた。

最後に、補足で「何者問題への処方箋」があり、印象的だったのは、

その中で「何者か」になったときには「そうでない何者か」にはなれなくなる

何者かになりたいって足掻いている時は、いろんな可能性があるけど、その中で取捨選択していくって、「何者か」にはなれなくなっていくっとことだよなあと、感慨深かった。

 

読んでみての感想

読んでいて、いろんなこと考えた気がするけど、気になったことだけ。

手元にあるものを手放さないこと、今の自分でも手が届くものを大切にすること

今、というか昔から、リセット癖がある。

今いる状況や環境から逃げて、すべて捨ててしまいたくなる。

若いうちはそれでもいいのかもしれないけど、自分の過去を否定すると、自分を嫌いになっちゃうんだよね。自分が今までに取得・獲得したもの(所属や学歴・知識・人間関係など)は自分を形づくるものとして受け入れ、大事にするのが大事だよなあってつくづくと思った。

ましてや、今、中年ですよ。人生の半分終わったよ。

どんなに「今」この瞬間から逃げたくても、自分を形づくるものを捨てるのは、自分のアイデンティティを放り投げる行為と同じだよなって思った。

 

次に、

あなたと特徴づけ、あなたが何者かを雄弁に語ってくれるのは、手放したくないと思うものや愛着があって簡単には交換できないと思うもの、かけがえのないもののはずです。

これ、これ。

これが見つからないの。

もう、中年が何言ってるのって感じなんだけど、これがわかんない。

いや、あるんだと思うんだ。多分、失って見るとやっぱり大事だったなあってヤツが。

で、うつのせいかわかんないけど、今は何も大事に思えない。だから、ちょっとでも気持ちが動くものを大事にしたいんだ。